13.1. 動機づけ
ノルムだけでは,ベクトルの長さは分かっても,
2つのベクトルがどれくらい「直交しているか」は分からない.
しかし実際には
\text{最小二乗法},\text{Fourier級数},\text{エネルギー評価}
のように,直交が本質的な役割を果たす場面が多い.
例えば L^2([0,1],\lambda) の関数 f を
1,\cos(2\pi x),\sin(2\pi x),\dots のような基本関数で展開したいとき,
係数は
\int_0^1 f(x)\cos(2\pi nx)\,dx や
\int_0^1 f(x)\sin(2\pi nx)\,dx で与えられる.
これらは単なる積分ではなく,
関数 f と基本関数との「内積」になっている.
この考え方を抽象化したのがHilbert空間である.