Lebesgue積分講義ノート

12.6. Riesz--Fischerの定理🔗

Theorem12.6.1
uses 0used by 0XL∃∀N

Riesz--Fischer. 1\le p<\infty とする. このとき (L^p(X),\|\cdot\|_p) はBanach空間である.

Proof for Theorem 12.6.1
uses 0

\{f_n\}_{n=1}^{\infty}L^p(X) のCauchy列とする. 各 f_n の代表元を同じ記号で表す.

\{f_n\} はCauchy列だから, 部分列 \{f_{n_k}\}\|f_{n_{k+1}}-f_{n_k}\|_p<2^{-k} (k\in\NN) となるように取れる. 各 k に対して g_k:=|f_{n_{k+1}}-f_{n_k}| とおく. すると g_k\in L^p(X) である.

さらに s_N:=\sum_{k=1}^N g_k とおくと,Minkowski の不等式より

\|s_N\|_p \le \sum_{k=1}^N \|g_k\|_p < \sum_{k=1}^{\infty}2^{-k} =1

である. したがって \int_X s_N^p\,d\mu=\|s_N\|_p^p\le 1 である.

s_N は単調増加する非負可測関数列であるから s(x):=\sum_{k=1}^{\infty}g_k(x) とおくと, 単調収束定理より

\int_X s^p\,d\mu = \lim_{N\to\infty}\int_X s_N^p\,d\mu \le 1.

よって s\in L^p(X) であり,特に s(x)<\infty a.e. on X である.

この零集合を除いた各点 x に対して, 任意の m>\ell について |f_{n_m}(x)-f_{n_\ell}(x)|\le \sum_{k=\ell}^{m-1}g_k(x) が成り立つ. 右辺は \ell\to\infty0 に収束するから, \{f_{n_k}(x)\} は a.e. でCauchy列である. したがってある可測関数 f が存在して f_{n_k}(x)\to f(x) a.e. on X となる.

次にこの fL^p 極限であることを示す. 各 \ell に対して t_\ell:=\sum_{k=\ell}^{\infty}g_k=s-\sum_{k=1}^{\ell-1}g_k とおくと, |f-f_{n_\ell}|\le t_\ell a.e. である. また

\|t_\ell\|_p \le \sum_{k=\ell}^{\infty}\|g_k\|_p \le \sum_{k=\ell}^{\infty}2^{-k} \to 0

が Minkowski の不等式から従う. したがって単調性より \|f-f_{n_\ell}\|_p\le \|t_\ell\|_p\to 0 である. 特に f\in L^p(X) であり,f_{n_\ell}\to fL^p で成り立つ.

最後に元の列全体が f に収束することを示す. \eps>0 を与える. \{f_n\} はCauchy列だから,ある N_1 が存在して n,m\ge N_1 \implies \|f_n-f_m\|_p<\eps/2 である. また部分列 f_{n_k}\to f だから,ある k が存在して n_k\ge N_1\|f_{n_k}-f\|_p<\eps/2 となる. すると n\ge N_1 に対して

\|f_n-f\|_p \le \|f_n-f_{n_k}\|_p+\|f_{n_k}-f\|_p < \frac{\eps}{2}+\frac{\eps}{2} =\eps.

よって f_n\to fL^p(X) で成り立つ. したがって L^p(X) は完備である.

Remark. この証明の要点は, Cauchy列から「差の和が可積分になる部分列」を取り出し, その差の級数 \sum_{k=1}^{\infty}|f_{n_{k+1}}-f_{n_k}| を使って点ごとの極限を構成することである. これは収束定理と不等式を組み合わせた, Lebesgue積分論らしい完備性の証明である.