Lebesgue積分講義ノート

11.5. 解釈とまとめ🔗

積測度は,可測矩形の体積を積で定めることから出発して構成される. そのうえで切片の可測性を確認すると,Cavalieriの原理が得られる. これは集合に関するFubiniの定理であり,指示関数に対する積分順序の交換と見なせる.

Tonelliの定理は,この集合版の結果を非負可測関数へ拡張したものである. 非負なら積分値が \infty になる可能性を許して,積分順序を自由に選べる. Fubiniの定理は,絶対可積分なら符号があっても積分順序を交換できる,という定理である. 実際の計算では,f\ge0 ならTonelliを使い,符号がある場合は |f| にTonelliを適用して,直接の積分または反復積分のうち有限性を確かめやすいものを一つ調べてからFubiniを使う.

変数変換公式は,Lebesgue測度が向きを持たず,体積だけを測ることを反映している. そのためJacobianは \det D\Phi ではなく |\det D\Phi| として現れる. 一方,線積分や微分形式の積分のように向きを含む体系では,符号つきのJacobianや境界の向きが本質的に残る. 本章で扱った affine 変換,体積の変換,極座標公式は一般の変数変換公式から得られる. さらに広い視点では,一般の変数変換公式は余面積公式の同次元の場合として理解できる. 多変数積分では,積分順序を変える操作と変数を取り替える操作を組み合わせることで,計算しにくい積分を扱いやすい形へ変形する.